漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

四月一日改元批判 〜踰年改元の復活を考える〜

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 朝日新聞が報じるところによれば2019(平成31)年の4月1日から新しい元号に変わる、と。

天皇陛下退位19年3月末 即位・新元号4月1日で調整:朝日新聞デジタル(2017/10/20朝日新聞)

 

 それを否定する報道もあるが。

【天皇陛下譲位】菅義偉官房長官、朝日新聞の「平成31年3月末譲位」報道を否定 - 産経ニュース(2017/10/20産経新聞)

 

 4月1日って何だ。ひどすぎる。

 明治5年の太陽暦改暦の愚行を思い出す。太陰太陽暦太陽暦かは国民生活に重大な影響を及ぼすことなのに、当時の「官吏の給料」という、後世の人間からしたらどうでもいい理由で改暦が敢行されたのだった。改暦によって季節が分からなくなった。例えば、「十五夜の月」とか「新春」という言葉がなぜそう言うのかが分かりにくくなった。季節は季節であって、国の財政が失敗したから今年の秋は無くなりました、とか、そんなふうにしてはならない。

 

 会社の年度から学校の年度まで、揃いも揃って国の会計年度に合わせているのは先進国では日本くらいのものではないか。

 新しい元号は、そんな古い悪習からは独立していてほしい。ネット上では「効率が」とか「システムが」どうのこうのと言う意見が多い。そんな効率主義からも独立していてほしい。将来の人々が「今の元号はなんで4月1日から始まってるの?」と聞いたとき、「それは当時のシステム屋が年末年始ぐらいは休みたいという理由で…」などと聞いたらがっかりするだろう。そもそも現代のシステムは西暦で動いているのであって元号は関係ないはずだ。「役所が元号を使ってるのです」と言うのかもしれないが、だからこそ4月1日改元は止める必要がある。

 これではまるで、役所の役所による役所のための元号。新しい元号が古いシステムの象徴のように始まるのは、考えただけでも気が滅入る。

 

 元々、1月1日案と4月1日案の二つがあって、この内、1月1日案は、年末年始に宮中の行事が立て込んで忙しい時期なので避けたいという宮内庁の意嚮があるそうな。

 それで思ったのだが、譲位(退位)の時期と改元の時期をずらすのでは駄目なのか?あまりにも離れていては不自然だろうが、例えば、2018年の10月頃に譲位、践祚をして、2019年1月1日に改元すればよいのでは?忙しくなるのは「譲位即改元」ということにしているからでしょう?譲位という時点で明治以来の一世一元の制は崩れている。少し譲位の時期を早めて踰年改元ということにすれば、年末年始が忙しくなることは無いのでは?

 特例法でも元号法でも譲位の時期と改元の時期が離れていてはいけない、とは決められていない。即位の礼は2019年の11月頃に行われるだろう。これはほぼ間違いない。とすると、践祚即位の礼が丸一年以上離れるのを嫌っているのか。では、2018年11月頃でどうか。宮中の詳しい行事予定は知らないが、この度は諒闇による践祚ではないのだから明治以前にはあった「踰年改元」の復活を考えてもよいのではないか。

 

 宮中祭祀の関係でどうしても1月1日は無理というのならしかたない。でも4月1日はない。4月1日にするくらいなら、2月23日のほうがよい。そのほうがずっと「人間的」だ。

 

 関係者の皆様には御一考願いたいことである。