漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

マイナンバー制度はカード所持認証を超えてゆけ

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 現行のマイナンバー制度はマイナンバーカードがセットになっている。行政側ではなく、利用者側(国民側)から見れば少なくともそうだ。

 そうなっている理由の一つは、やはりセキュリティ上の問題だろう。所謂「なりすまし」を防ぐためにはカードの所持認証というのは、かなりセキュリティ度が高い。

 しかし、カードの利用を前提としてしまっていることでマイナンバー制度の本来の意義が霞んでしまっている面もある。

 

 例えば、マイナンバー三大利用目的の一つ、「災害」。

 此処に「洪水で家ごとすべて流されてしまいました」という人が呆然と立ち尽くしている。その人に向かって「マイナンバーカードはお持ちですか?」と言うのだろうか。私はそんな残酷なことは言いたくない。

 マイナンバー制度はこういう人を助けるための制度であるはずだ。それなのに、「わざわざ役所に行かなくてもマイナンバーカードがあればいろいろな手続きを一括で申請できます。マイナンバーカードはお持ちですか?」と言う。

 家ごと流されたと言っているのである。

「ご住所はどちらですか?今、どちらにお住まいですか?」

 住所はあるが、その「お住まい」が無いのである。

 

 カードの所持認証がセキュリティ度が高いことは分かる。所持認証だけではない。カードのICチップが持つ耐タンパー性とか、カードを利用した方が格段にセキュリティが高まることは分かる。しかし何とかそこをクリアしていくべきだ。私は技術的な精しいことはよく分からないけれども、例えば生体認証を用いるなどして、カード所持認証から解き放たれることはできないのか。

 最近、「Polarify」が生体認証を使ってマイナンバーカードの暗証番号を呼び出す、というところまで行ったというニュースを聞いた。

 ここまで来たなら、あともう一歩だという気がする。マイナンバーカードを超えてマイナンバーを直接利用できるようになるまであと一歩だ。

 道具が制度の精神を邪魔してしまったのでは本末転倒だ。