漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

国の「プッシュ」型サポートの問題点

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 マイナポータルの“売り”の一つに「プッシュ通知」がある。
 
 今までとちがって、行政側からプッシュ型でお知らせしますよ、ということである。
 
 一見、良い事のように見えるが、プッシュ通知は無視する人も多い。今でもパソコンを使っている時に、OSやらブラウザやらアプリやらから、いろんな通知が次々と表示されるが、今急いで何か目的をもってしようとしていることと全然違う内容の通知が来ても、読むのがめんどくさくて、または「また後で読む」ことにして、取り敢えず右上の✕ボタンで閉じてしまってる人も多いだろう。
 
 国は今、「プッシュ型」を推し進めている。平成28年熊本地震や平成30年7月の西日本豪雨でも、国による「プッシュ型支援」が行われたと聞いている。これは被災地の要請を待たずに、とにかく必要と思われるものを国から被災地に送り届けよう、という支援の形である。
 
 ここで気をつけたいのは、同じ「プッシュ」という言葉を使っていても、「プッシュ型支援」と「プッシュ通知」はかなり似て非なるものだということである。
 
 プッシュ通知は単なる「お知らせ」である。「健康診断が受けられますよ」とか「あなたはこれこれの受給資格がありますよ」とか、そういった区(市)からのお知らせは、マイナポータルが始まる以前から、紙で郵便で届いていた。
 
 これでは結局、「いちおう、お知らせしましたからね。これを利用したかったらちゃんと期日までに申請してくださいよ」という、従来の申請主義と変わらない。
 
 災害の時には踏み込んだ支援ができるというなら、災害ではない平時における日常生活で苦しんだり困ってる人たちに対して、もっと踏み込んだ支援ができるような仕組みをつくるべきだ。