漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

手を使わずにラグビーができる可能性

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 ラグビーを手を使わずにできる可能性について何年か前から考えている。
 
 「そんなことしても何のメリットもない」とか「実用的ではない」とか、そんなことは分かっている。ラグビーで手を使わなかったら不利だし、負けてしまうし、ラグビー選手はそんなことはしない。
 
 私が考えたいのは、実際にラグビー選手が手を使わないでプレーするかということではなくて、それがルール的に可能か、理屈上可能かどうか、ということだ。
 
 ラグビーはサッカーと兄弟のような関係にあるスポーツだ。知ってる人は知ってると思うが、ラグビーはサッカーから生まれた。両方とも「フットボール」だ。サッカーではゴールキーパー以外、手を使ってはいけない。ラグビーでは手を使うが足を使っていけないわけではない。しかし「フットボール」というぐらいなのだから、手を使わずにプレーすることはできるのでは?
 
 それで「手を使わずにラグビーをすることは可能か」ということをずっと考えていて、ネット上でもだいぶ調べてみたのだが、どこにも答えは書かれていなかった。そのようなことを質問してる人すらいなかった。
 
 なので、自分で調べて考えるしかない。ルールを調べたり、さまざまな文献を読んだりして研究した。以下は、その研究の全成果である。(などという大袈裟なものではないが)。
 
 相手チームに手を使わないことを強制することはできないので、自チームが手を使わないでプレーできる可能性を考えてみよう。
 
【前進方法について】
 まず前進方法。これはボールを持って走らなくても、キックで前に進むことができる。サッカーのようにずっと足で蹴ってボールを前に転がして行けばいい。
 
【得点方法について】
 次に考えなければいけないのが得点方法である。ペナルティゴールなら足でボールを蹴るだけで得点できる。あとはドロップゴールもある。バウンドしたボールを蹴ってゴールが決まれば得点できる。
 
【トライについて】
 そして問題のトライだが、これも手を使わずにできる。まず、足で蹴り進めたボールをインゴールエリア内に入れる。それから前方に倒れ込んで胸でボールを地面に押さえつける。これでトライである。トライは「首から下の上半身でボールを地面に押さえつける」こととされているので、手ではなくても胸や腹で押さえつけてもトライは取れる。もちろんトライ後のゴールキックも足でできる。
 
 というわけで、前進と得点ができるなら、手を使わないでプレーできそうである。
 
【防御について】
 ラグビーの防御の基本はタックルだが、これも手を使わないことは可能だと思う。手を出さずに肩でタックルするのだ。普通のタックルでも首から肩の辺りが相手選手にぶつかっていると思うので、手を出さずに肩でぶつかっていけないことはないと思う。その他の防御方法としては、手を後ろに組んで胸で体当たり。これも反則にはならないのではないか。あとは、相手の進路に立ち塞がる。手は後ろに組んで。相手の進路を邪魔するだけなので弱い防御方法ではあるが、防御と言えば防御である。
 
スクラムについて】
 スクラムを組む時にはどうしても手を使う。手を使わなければスクラムは組めない。スクラムを選択しないという方法もあるが、相手チームがスクラムを選択したらこちらもスクラムを組まなければならない。
 
 だが、今話している「手を使わずに」というのは、「手でボールに触れずに」という意味だ。だからスクラムで仲間の体に触れることは構わない。となると、ちょっと戻って、タックルもボールに直接触れているわけではないので問題ないこととしよう。
 
スローインについて】
 スローインは ”throw” と言うぐらいだから、手を使わなければできなさそうである。だが、投げ入れる選手はゲームエリアの外にいるのでセーフなのではないか。受け取る側は、もちろん自チームの選手が受け取らなければいいだけである。
 
【試合開始方法(キックオフ)について】
  だが。
 
 突き詰めて考えていくと、どうしても残るところがある。それは試合開始のキックオフである。
 
 キックオフは一般に手で持ったボールを地面にバウンドさせて、それを蹴ることによって試合を始める。蹴る前はゲームはまだ始まっていないので、その時点では手で持っていてもいいのでは、と思ったが、審判が笛を吹いた瞬間にゲームは始まっている。つまりインプレーである。なので、審判が笛を吹いた後、ボールを手放して地面に落とすまでのほんの一瞬のあいだ、手を使ってしまっていることになる。
 
 しかしこれも、よくよくルールを読んでみると、一回地面にバウンドさせて跳ね返ったボールを蹴ればいい、ということらしいので、最初に手で持っている必要はない。
 
 つまり、ゲームの開始方法はこうだ。まずコイントスをする。ここで負けて相手ボールで開始になれば悩むことはない。自軍ボールで開始になってしまった場合はまず審判からボールを手で受け取る。この時はまだゲーム開始前なので手を使っても大丈夫。それから、頭を左右どちらかに傾けて頭または顔の一部と肩のあいだでボールを挟んで固定する。その状態で審判の笛を待つ。ゲーム開始の合図の笛が鳴ったら、その頭と肩のあいだに挟んだボールを少し勢いをつけて前方に落とす。地面にバウンドして跳ね返ったボールを蹴る。これで、手を使わないでゲームを開始できる。
 
【まとめ】
  以上が、手を使わないでラグビーをする方法である。
 
 今回、これを書くにあたってラグビーのルールを一生懸命勉強したが、ラグビーのルールは奥が深く、とても難しいことが分かった。
 
 ラグビーのルールには曖昧なところが多く明文化されていない点もたくさんあり、そもそも「紳士的な精神」をプレーに求められるのでルール違反ではなくても笛を吹かれる可能性がある。
 
 頭と肩で本当にラグビーボールを挟めるのかどうかも実験していないので分からない。
 
 上記の方法を実行すれば、どんなに強いチームでも敗北必至だが、「手を使わずにラグビーができるか」を考える過程で、ラグビーのルールについていろいろ学べたのはよかった。
 
 しかし何か大きなルール誤認がありそうな気もするので、ラグビー経験者、若しくはラグビーのルールに詳しい人は教えてもらえるとありがたいです。