漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

安田純平氏批判に感じる二つのおかしさ

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 人質として捕らわれていたジャーナリストの安田純平氏が解放されてから、またぞろ日本国内で「自己責任」バッシングの声をよく聞く。10年以上前に日本国内で吹き荒れた「自己責任論」が再び跋扈している。

 
 そのバッシングに二つのおかしさを感じる。
 
 一つは、自己責任論者に向かって「自己責任だろ!」と言っているおかしさ。
 
 報道を見ているかぎり、安田氏は渡航前も人質として捕らわれてからも、そして釈放されてからも、一貫して「自己責任」という考えを持っているように見える。そんな自己責任論者に向かって「自己責任だろ!」と言っても、「そうだよ?」という答えしか返ってこないのではないか。自己責任論者に向かって「自己責任だろ!」と言ってどうする。
 
 二つ目は、「私たちの税金が!」と言っているおかしさ。
 
 「迷惑だ」と。なぜなら「私たちの税金が使われているのだから」という声をたくさん目にした。裏でどんなことがあったか、水面下でどのような交渉が行われたかまでは私は知らないが、報道(解放へ「カタールが身代金3億円」…監視団体 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) によれば、カタール政府が身代金を支払ったとか。カタール国民が「私たちの税金が使われて迷惑!」と言うのなら話はわかるが、身代金を払ったのとは別の国民(日本国民)が「私たちの税金が!」と言うのはいったいどういうことなのか。
 
 こういうおかしさを誰もなんとも思わないのだろうか。批判したいならせめてもっと当人の心に当たる批判をすべきであって、自己責任論者に向かって「自己責任だろ!」という頓珍漢な批判は呆れを通り越して滑稽である。