漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

年末年始休み廃止論

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 「年末年始休み」という奇習はいったいいつまで続くのだろう。
 
 昔から「盆・正月」という。
 
 この内、盆休みは近年、なくなりつつある。盆休みがない企業は増えた。「夏休み」はあるものの、秋頃に自由に「夏休み」を取ったりする人も増えてきている。
 
 ところが「年末年始休」だけは頑なに動かない。なぜなのか。年末年始休などというおかしな習慣は廃止すべきである。
 
 このように言うと、「年末年始すらも休ませてあげないのか!鬼!」と言う人が出てくる。
 
 だが、そういう人たちは年末年始に鉄道会社が働いていることについては何も言わない。郵便局も年賀状配達のために年末年始は働いている。
 
 テレビ局は年末年始の一週間くらい休んで、一切の放送を中止しよう。「ネットがあるからいい」? インターネットプロバイダも年末年始は休みにしてインターネットは使えないようにしよう。パソコンやスマホも電力会社からの電気の供給がストップするので使えなくなる。自宅に電気を蓄えている人は一週間くらいは乗り切れるかもしれないが。
 
 なぜ鉄道会社の人たちだけが年末年始も働いているのが「当然だ」とされなければならないのか。
 
 病院、役所、銀行など、公共性の高いところは年末年始は開けるべきだ。
 
 人間は年末年始には病気にならないのか? 銀行は今年、法改正があって平日でも休みにできるようになったのに、年末年始に相変わらず頑なに休んでいるのでは何のための法改正だったのか。
 
 病院の年末年始休の言い訳としてよく聞くのは、「医療機器メーカーなどの関聯企業が休んでいて、いざという時に部品を調達できず、手術が失敗に終わるおそれがある。そうなったら責任が持てないんです。人の命にかかわる仕事ですから」などというもの。
 
 鉄道会社だって、何万人もの人を乗せて脱線しないように運転している「命にかかわる仕事」である。鉄道会社の関聯企業は年末年始はどうしているのだろう。線路や車輪に罅が入った時の交換、窓ガラスが割れた時の交換、自動改札が壊れた時の修理会社、そういう関聯会社の人たちはどうしているのだろう。
 
 「鉄道会社の関聯企業はきっと年末年始も働いているんですよ」。
 
 だったら、病院の関聯企業もすべて年末年始も働けばよいではないか。そうすれば医者が「取引先が休んでいるから」などと言い訳せずに済む。
 
 「病院や役所や銀行は年末年始は閉まっているのが当たり前。鉄道は動いているのが当たり前」などというのは今の私たちが勝手に思い込んでいる常識に過ぎない。生まれた時からそうだったから、それが“常識”だと思い込んでいるだけだ。
 
 鉄道と同じように、人間が生きていくのに欠かせない性格を持っている病院や役所や銀行が、「年末年始は開いているのが当たり前」という世の中が到来してほしい。