「ナントカペイ」が乱立している。20以上?いや、もっとありそうだ。その中でも、今のところユーザー数が多いのは、PayPay、LINE Pay、楽天ペイの3つだろう。
もし、この3つの中で1つだけが覇権を握るとしたら、私はLINE Payが本命になるだろうと思う。私はLINEの回し者ではないが、以下、LINE Payが本命になるであろう理由をいくつか挙げてみたい。
1.使い始めのハードルの低さ
2.使える店の多さ
3.オンライン決済を押さえている
4.マーケティングの上手さ
5.給与支払いを睨んだ動き
1.使い始めのハードルの低さ
LINEは、今では日本人のほとんどが使っているので、LINE Payは使い始めるにあたっての心理的ハードルの低さがある。
2.使える店の多さ
メルペイ、au Pay、7pay、ゆうちょペイなどと比べても、圧倒的に使える店が多い。
と、ここまではわりと普通の理由だが、LINE Payが本命になるであろう理由はこの先だ。
3.オンライン決済を押さえている
LINE Payがすごいなと思うところは、流行りのQRコード決済だけ力を入れているのではなく、オンライン決済もしっかり押さえているところである。日本のQRコード決済ブームの「師匠」である中国でも、支付宝はオンライン決済をしっかり押さえている。日本人は形や見た目に捉われるので、日本ではオンライン決済は話題にすらなっていないが、いくら話題になっていなくてもそういうところをきっちり押さえているのはLINE Payはさすがだと思う。他の◯◯ペイの大半は、オンライン決済は疎かにしている。
4.マーケティングの上手さ
ゆうちょペイが始まったとき、ツイッターで大々的なキャンペーンを行なった。今どき時代遅れな戦隊モノのゆるキャラを使い、「抽選で当たるかも!?」キャンペーンを実施。抽選結果をツイッターで応募してきた個々人のアカウントに報告していた。その結果、その時期にツイッター検索で「ゆうちょペイ」で検索すると、「残念ながら結果はハズレ」というツイートが何百何千と連なり、さながらスパムのような様相を呈していた。
一方、同時期にLINE Payがツイッターでやっていたのは、「#ここがヘンだよLINEPay」というハッシュタグを使って、LINE Payの不満点、改善点をユーザーに指摘してもらうことだった。そして実際にユーザーからの要望に応えて、LINE PayをLINEアプリとは別個のアプリとして独立させた。
5.給与支払いを睨んだ動き
LINE Payが最近つくったサービスに「LINE Payかんたん本人確認」と「LINE Payかんたん送金サービス」がある。
この二つは、いずれも将来的な給与のデジタルマネー支払い解禁を睨んだ動きだ。いずれもニュースとしての取り上げられ方は小さかったが、私は重要な動きと見ている。特に、本人確認は地味ながら重要で、LINE PayはNECと組んでこれを実現させている。
給与のデジタルマネー払いが解禁されれば、会社は社員の銀行口座ではなく、LINE Payに直接、給与を送金することになる。その時に、今のうちに作っているこうした地味なサービスが生きてくる。
と、LINE Payを褒めてばかりきたが、ひとつ疑問に思っていることがある。それは「LINEバンク」の存在だ。
LINEとみずほ銀行が組んで「LINEバンク」を設立するという話がある。だがもし、給与のデジタルマネー払いが解禁になれば、会社は給与を銀行には振り込まず、社員のLINE Payに直接送ることになる。給与振込は銀行の大きな強みなので、それを奪うということはつまりLINE Payの存在は銀行の首を絞めるものになるはずなのだ。となると、LINEバンクは「給与の口座振込に頼らない形の銀行」を目指すのだろうか。
ともかく、LINE Payは確実に未来を見据えている。
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