漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

なぜリアルタイム払いが重要か

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 私はクレジットカードやプリペイドカードをほとんど使ったことがない。
 
 使うのは現金かデビットカードである。なぜクレジットカードやプリペイドカードを使わないのか。その理由を今日は書こうと思う。
 

時間軸から見る3つの決済方法

 
 決済方法は、時間の観点から大きく三つに別れる。すなわち、
 
1.プリペイド(前払い)
2.リアルタイム払い(即時払い)
3.ポストペイ(後払い)
 
の三つである。
 
 それぞれの払い方の代表的なものには次のようなものがある。
 
 
2.リアルタイム払い
現金
 
3.ポストペイ
クレジットカード
 
 私がプリペイドやポストペイを使わないのは、それが基本的に「おかしい」と思っているからである。
 
 八百屋に行って、1個200円の林檎を買う。私はその場で店主に200円を渡す。これだけでいい。その200円を前払いしたり後払いしたりする必要はない。
 

後払いはなぜ駄目か

 
 なぜわざわざ来月に払うのか。今月はお金がないから?今、払えないような金額の買い物をするべきではないだろう。
 
 私は店主に200円を渡し、店主は私に林檎を渡す。このシンプルなやり取りになぜ第三者が仲介するのか。
 
 クレジットカード会社は「あなたの代わりに立て替えといてあげますよ」と言う。これは、支払いに困っている私を見かねて優しい手を差し伸べているわけではない。クレジットカード会社は儲かっているのである(当たり前だが)。
 
 クレジットカードを使う人はそのメリットとして「多額の現金を持ち歩かなくていい」と言う。だが、それはデビットカード電子マネーでも持ち歩かなくて済むわけだろう。
 
 また、もう一つのメリットとして「ポイントが貯まる」ことを挙げる人は多い。だが、そうしたお金(ポイント)がどこからどうやって捻出されているのか、よくよく考えてみることだ。私と八百屋の間にクレジットカード会社が入ってくる。クレジットカード会社は「いまどきカードが使えない店は客から逃げられますよ」と言う。店は手数料を払うことになる。その手数料分を値上げするだろう。結局は消費者に跳ね返ってくる。
 

前払いはなぜ駄目か

 
 では、後払いではなく前払いだったら良いのか?
 
 前払いも駄目である。前払いの「悪」についてはテレホンカードの話をすれば事足りるだろう。
 
 いま誰も財布の中にテレホンカードを持っていない。でも家にはテレホンカードが眠っている。結局使わず換金もしていないテレホンカードが。「残高が残っていると言ってもたかだか100円くらいですから」。そう言う人が日本に10人に1人いたとしよう。すると、100円×1000万人で、NTTは10億円も儲かっていることになる。
 
「いまどきまだ小銭を積み重ねて電話をしているんですか?今はもうテレホンカードの時代ですよ」
 
 そんな言葉に騙されてかつて多くの日本人がテレホンカードを買い、「先に」NTTにお金を払ったが、世の中は公衆電話から携帯電話の時代に変わり、持っていたテレホンカードは使う機会を失った。
 
 それでもなんとなく、災害の時とか、いざという時に使うことがあるかもしれない、そういう思いでテレホンカードを換金せずに持ち続けている。
 
 先にお金だけもらっておいて、実際の電話は掛けないのだから、NTTはぼろ儲けである。
 
 今のSuicananaco楽天EdyWAONにしてもそうだが、プリペイドの「悪」については、このテレホンカードの例を挙げるだけで十分であろう。人々は「プリペイドはチャージするのが面倒」と言いながら、同じ口で「Suicaは最強」と言っている。この場合の「Suica最強」は一手間かかるQRコード決済と比べてタッチ一瞬で済む便利さを言っているのだろうが、プリペイドという時点で「悪」で時代遅れであることに気づくべきである。
 

時間差はトリック

 
 リアルタイムに払わせずに前払いや後払い等の時間差を生じさせるのは、すべてそこから新たな利益を生み出すためである。目先の小さな「便利」や「お得」にしか目が行っていない人は、大きな視点では搾取されている構造に気づかなければいけない。時間差があると複雑さが生まれる。そこに付けいる隙がある。複雑すぎて人々はカラクリが分からない。自分が得しているのか損しているのかも分からない。なんとなくポイントが貯まるからお得なんじゃないか、と思っている。
 
 時間差のトリックをこの世から無くしていくためには、あらゆることをリアルタイムに近づけ、物事の関係性をシンプルにしていくことだ。これはできないことではない。
 
 
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