漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

オリンピック延期と簡単に言うけれど

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 オリンピック延期と簡単に言うけれど。
 
 スポーツ選手にはピークの時期というものがある。
 
 国によって、また種目によって、代表選考が終わっているものと未だのものとがある。
 
 日本では、2020年3月下旬現在、陸上の短、中距離、競泳(飛込やシンクロを除く)、自転車、フェンシング等は大部分が代表は未定である。(競泳の瀬戸選手など一部決まっている選手もいる。)一方で、柔道、空手、卓球、セーリングなどは、ほとんど代表選手が決まっている。あとは陸上の長距離もほぼ決まっている。
 
 各国とも参加するからにはメダルをたくさん取りたい。そしてメダルをたくさん取るためには、“旬”を少し過ぎてしまった選手よりも“今が旬”、“今まさに絶好調”の選手を使いたい。国や種目によっては半年も経てば「大型新人」が登場する。そんな新人の存在を知ってしまった以上、せっかくの逸材は使いたいという気持ちが国民の中にも起こってくるだろう。「あの期待の新人を出場させればメダル間違いなしなのに、なんであの選手を出さないんですか?」「二年前の代表選考の結果にこだわる必要があるんですか?!」そういうことを言い出す人がたくさん出てくるだろう。中でも柔道のように、日本の国技でありメダルがたくさん期待される種目では、なおさらそういう声がたくさん上がるだろう。
 
 私たち大人にとっては一年や二年はあっという間だが、若者にとっての一年、二年は長い。もし延期したら、二年後に素知らぬ顔の新人が「大迫選手の分まで頑張りたい(例)」などと言っているだろう。
 
 一度決まったのに、代表内定を取り消されてしまう選手はあまりにかわいそうだ。嘘の合格証書をもらったようなものだ。
 
 そういうかわいそうな選手を生まない方法を考えたい。