日比谷線は駅間がおかしい。
地下鉄の駅間はなるべく均等に作られているが、日比谷線は駅間が極端に短かったり長かったり。
この度の虎ノ門ヒルズ駅の開業で、ますます駅間がおかしくなった。
下図の通り、例えば北千住駅から中目黒駅方面に向かうとすると、日比谷駅までの下町区間はずっと駅間が短いが、日比谷駅を過ぎると突然駅間が長くなる。港区は広大な敷地が多い関係で細かく駅を作るのが難しいのだろうか。
私がこれの何が問題だと思っているかと言うと、駅間の平均化どころかアンバランス化に貢献してしまっているところである。特に前後の駅間とのバランスが非常に悪くなるのである。
日比谷―霞ケ関間 1.2km
霞ヶ関―神谷町間 1.3km
神谷町―六本木間 1.5km
この三つの駅間、営業距離をこうして比較してみると、どれも大して変わらないじゃないか、と思うかもしれない。しかし、電車に乗っている時間、所要時間を見てみると全然違うのである。
日比谷―霞ケ関間 2分26秒
霞ケ関―神谷町間 1分44秒
神谷町―六本木間 2分52秒
霞ケ関―神谷町間が圧倒的に短い。この三つは駅間距離が大して変わらないのに、どうしてこんなに所要時間に差が出るのか?
それは線路の形にその答えがある。下図は日比谷から六本木、広尾までの日比谷線の路線を地図を見ながら写し書きしてみたもの。
日比谷―霞ケ関間、神谷町―六本木間には途中に大きなカーブがあるのが分かるだろう。特に神谷町―六本木間のカーブなどは直角に近く、ここで電車は大きく減速する。だから神谷町―六本木間の所要時間は距離以上に長いのである。一方、霞ケ関―神谷町間はほぼ真っ直ぐなので減速することなく短時間で走り抜けている。
日比谷―霞ケ関間 2分26秒
虎ノ門ヒルズ―神谷町間 0分52秒
神谷町―六本木間 2分52秒
もう、倍以上。虎ノ門ヒルズから神谷町まであっという間に着き、神谷町を出発してから六本木に着くまで3倍近い時間を体感することになる。ただでさえ今まで神谷町―六本木間は長いなあ、と感じていたが、虎ノ門ヒルズ駅ができたことにより、相対的にますます長く感じることになるだろう。
1.3kmの直線という日比谷線では最もスピードの出る区間における途中駅の登場。駅ができたら当然そこで減速して止まるし、そこでの乗り降りも発生する。虎ノ門ヒルズに用がある人にとってはこの新しい駅は有り難いだろうが、日比谷線全体の目的地までの到着時間は長くなる。この区間を跨いで通勤通学をしている人が最もそれを感じるだろう。そして心理的には日比谷―霞ケ関間や神谷町―六本木間が今まで以上にとても長く感じられるようになるだろう。