漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

マイキーIDとは何か

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 マイキーID。今はまだほとんどの国民に知られていないこのIDも、そう遠くない将来にほとんどの日本国民に知られるようになる。マイキーIDは、これからの社会生活の根本になってくるものだからである。
 
 「マイナンバー制度」という言葉のイメージはこんな感じ。私は「マイナンバー制度」という言葉は大きくは「マイナンバー」と「マイキー」の二本立てで成り立っていると理解している。
 
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 だが世間ではマイナンバーの方はよく知られているものの、マイキーの方はほとんど知られていない。なのでマイキーの考察に入る前に、いつものようにQ&A方式でマイキーIDの基本的な説明を先に書こうと思う。
 
Q1. 「マイキーID」って何?
A1. 日本国民のためのデジタルID。
 
Q2. マイキーIDは誰でも持ってるの?
A2. 初めから全国民に割り振られているマイナンバーと違い、申請した人しか持っていない。
 
Q3. マイキーIDを持つことは義務なの?
A3. 義務ではない、自由。
 
Q4. マイキーIDは誰でも作れるの?
A4. マイナンバーカードを持ってる人しか作れない。
 
Q5. マイキーIDは好きな文字列にできるの?
A5. 初期設定ではランダムな文字列になるが好きな文字列に変更することは可能。(ただし既に使われているものは駄目。)
 
Q6. マイキーIDはどんなことに使えるの?
A6. 今のところマイナポイントを貯めることくらいしか使い途はない。
 
Q7. マイキーIDを持ってたらどんなメリットがあるの?
A7. 今のところは大したメリットはない。
 
Q8. マイキーIDを持つことによるデメリットは?
A8. デメリットも今のところ特にない。
 
 
 さて、ここからが本題。マイキーIDの考察。マイキーIDは、これから広く国民的なデジタルIDになっていくIDである。今のところはマイナポイントくらいにしか使えないが、その先はありとあらゆるIDとして使うことができる。
 
 「国民一人ひとりが持つデジタルID」と聞いて、多くの人が抱く疑問は「それってマイナンバーじゃないの?」ということだろう。たしかにマイナンバーも国民一人ひとりが持っている個人に固有の番号であり、主にデジタルで扱うので、そういう意味ではこの二つは似ている。
 
 では、何故何のためにマイナンバーの他にマイキーIDという固有のIDがあるのか?
 
 それはマイナンバーとマイキーIDは主な使い手と使い途が異なるからである。
 
 マイナンバーは主にバックヤードで使われる番号である。バックヤードとは私たち国民があまり目にすることのないところのことであり、より具体的には行政機関間等の情報連携に使われる。(今はまだ全然使われていないのだが...。)
 
 一方、マイキーIDの「使い主」は私たち国民である。マイナンバーを使うのは主に国や地方自治体やそれに準じる組織などだが、マイキーIDは国民自身が使う。Googleを使う時にGoogleアカウントを使う感覚に似ている。マイキーIDは目に見える表(おもて)のところで使われる。国民が自分で必要な時に使うイメージである。(こちらも今はまだ全然使われていないが...。)
 
 マイキーIDが表でマイナンバーが裏である。
 
 Appleを利用している人はApple IDでログインするだろう。それと同じでマイキーIDは私たち国民がデジタルの世界にログインし、かつ個人を認識するための文字列(ID)である。マイナンバーでログインするわけではない。
 
 また余談だが、マイナポイントは「マイナンバーに貯まるポイント」ではない。名前からしてそう思ってしまいそうだが、マイナンバーは関係ない。マイナポイントはマイキーに貯まる。このマイナポイントの例でわかるように、マイキーIDは、より身近な、私たち国民の暮らしに近いところで、かつ目に見えやすいところで使われる。
 
 マイキーIDはマイナンバーとは紐付いていない。独立しているからこそ、マイナンバーよりもっと自由に気軽に使うことができる。マイキーIDはこれから広く国民的なデジタルIDとなっていくべきものである。だがそのためには、今よりずっと広い用途で使えるようになることが欠かせない。
 
 マイキーの推進にあたって政府は立ち竦んでしまっている。マイキーもマイナンバーと同様、今のところまったく活用されていないに等しい。使い方やマイナンバーとの棲み分けをどうすればいいか、といったようなことに迷っているのではないか。
 
 マイナンバー制度に批判的な人々は「なんとなくプライバシーが心配」「今の政府が信用できない」と言う。しかし、「なんとなく」ではなく、仕組みをきちんと理解して批判しなければいけない。マイナンバーもマイキーも、すでに出来上がったり普及したりしてから批判をしても遅い。政府が信用できないなら尚のこと、先手先手で批判していかなければならない。
 
 今ならまだ間に合う。日本のデジタルIDをどうするか、は日本国民自身が考えていかなければいけない。
 
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