漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

東京オリンピックはインターカレート大会としてオンラインで

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 東京オリンピックは開催か中止か、という二択の話になってきている。
 
 私は日本人として、東京人として、オリンピックは招致段階から反対している。
 
 ただ一旦決まってしまっていると、それを中止した場合にはアスリートたちが気の毒だ。四年に一度の機会に照準を合わせて練習を積み重ねてきていたのに、その発表の場が突然奪われるのはかわいそうだ。かと言って、Covid19の問題を無視するわけにもいかない。
 
 そこで私が提案したいのは、東京オリンピックをインターカレート大会、つまり非公式大会としてオンラインで行う、というものだ。
 
 東京オリンピックは2020年に開かれなかったという時点でオリンピック憲章に反する可能性が高い。このことは以前書いた記事を参照してほしい。一方、Covid19で問題になるのは、リアルにたくさんの人が集まり、またそのための移動があるということだ。
 
 であれば、リアルに人が集まらない大会にすればいい。ヴァーチャル、すなわちオンラインで大会を行うのだ。
 
 例えば陸上100m走だったら、選手たちは各国各地域で走る。その映像を繋ぎ合わせて並んで走っているように見せる。当然、気象条件や風速などのコンディションが大きく異なっているので、タイムは参考記録、順位も参考順位である。そしてこの参考順位に従って、金メダル(仮)、銀メダル(仮)、銅メダル(仮)を授与する。映像を流すプラットフォームは限定する。このことによってスポンサー企業の広告収入を確保できる。
 
 このオンラインによる方法では、すべてが参考記録、(仮)(かっこかり)になるので、大会をまるごと非公式大会と位置づけることに違和感がない。
 
 但し、すべての競技種目でこのオンラインによる実施が可能かと言うとそうではない。オンラインで実施できそうな競技とできなさそうな競技にざっと分けてみた。
 
<オンラインで実施できそうな競技>
アーチェリー、アーティスティックスイミング、ウエイトリフティングスケートボード、スポーツクライミングトライアスロン、トランポリン、マラソンスイミング、飛込、近代五種、競泳、陸上、馬術、射撃、体操
 
<オンラインで実施できなさそうな競技>
バスケットボール、ゴルフ、サッカー、カヌー、セーリング、サーフィン、テコンドー、テニス、バドミントン、バレーボール、ハンドボール、フェンシング、ボクシング、ボート、ホッケー、ラグビーレスリング、空手、柔道、水球、野球・ソフトボール、卓球、自転車
 
 柔道、レスリング、バドミントン等、「相手と組む」必要がある競技種目はオンラインではできそうにない。もっともこれは私の頭が固いだけかもしれないので、「こうすればオンラインでも柔道が可能!」というアイデアがあれば、ぜひコメント欄で教えてほしい。
 
 アスリートたちには活躍の場が必要だ。「活躍」というのは単に記録が出る、という意味ではない。誰も見ていないところで記録を出すのではなく、皆が見ているところで勝つ、のが活躍である。だからオンラインで開催し、活躍するところを世界中の人に見てもらう。
 
 今から115年前の1906年アテネ大会もインターカレート大会だった。この大会は非常に盛り上がったと聞くが、IOCが定めるオリンピックの歴史には載っていない。西暦が4で割り切れない年に開催されているからだ。
 
 東京も同じようにインターカレート大会にすればいい。あるいは、以前の記事にも書いたように第700古代オリンピアードとして実施してもいい。何れの名目でも近代オリンピックとしては非公式の扱いであることは同じだ。それに記録や順位が参考記録でしかない以上、公式大会と位置付けるのも難しい。
 
 この方法で、すべてではないが、いくつかの競技種目を実施することができる。実施できる競技だけでもオンラインで実施してはどうか。公式大会ではないのだからすべての競技を必ず実施する必要はない。
 
 「そういう風に各地で走ったり泳いだりすることすらできない、参加選手を集めることもままならない状況の国はどうしたらいいのか」と言う人がいるかもしれないが、そういう国は無理に参加しなくていい。非公式大会なのだから参加できる余裕のある国だけが参加すればいい。
 
 ただ、オンラインで実施できる競技とオンラインでは実施できない競技の間の競技格差がある。陸上、競泳、体操、等は「タイム」や「得点」があるから、「好タイム」や「高得点」を叩き出すことである程度「活躍」できるのだ。柔道やレスリングのような競技ではタイムや得点が無いので、「相手に勝つ」ということでしか凄さを表現できない。そういう、凄さを表現できにくい競技ほどオンラインでは実施しにくい、というのは何とも皮肉な話ではある。
 
 東京オリンピックはリアル開催か中止か、という二択以外に、「オンライン開催」という選択肢を考えてもいいのではないか。パラリンピックもオリンピックに準じる形で開催したい。
 
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