漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

電子証明書のスマホへの格納はマイナンバーカードがなくてもできるように

 最近、こういうニュースがあった。

スマホにマイナンバーカード搭載、22年度中にもAndroidで実現へ - ケータイ Watch

 マイナンバーカードをスマホに入れる、という話自体はもう何年も昔からあったが一向に進んでいなかった。それが漸く2022年度中には実現するのか、という期待を抱かせるニュースである。「マイナンバーカード機能を入れる」となっているが、実際にはマイナンバー部分をスマホに搭載するのはまだ先の話で、今年度中に入れようとしているのは電子証明書だろう。

 一方で、このニュースの中で気になることがある。それはマイナンバーカードをスマホの中に入れるに当たってプラスチックマイナンバーカードが必要になる、ということである。これはかなり由由しき問題だ。

 

 数か月後、「マイナカード(電子証明書)がスマホに入れられるようになりました」というニュースを聞いた人。

「あら、これは便利ね。ぜひ使ってみたい」

役所に問い合わせる。

スマホ電子証明書を入れたいんですけど」

役所の人「マイナンバーカードはすでにお持ちですか?」

「いいえ、持ってません」

「では、先ずマイナンバーカードをお作りください」

「どうすればいいですか?」

「厳格な本人確認が必要なので役所までお越しください」

役所まで足を運ぶ。

「来ました」

「では、先ずあなたのマイナンバーカードをお作りします。少々お待ちください。・・・できました。そのカードをスマホに当ててください。そうです。これであなたのスマホの中に電子証明書が入りました」

「ありがとうございます。スマホの中に電子証明書が入っていれば充分なので、このプラスチックマイナカードは要らないんですけど」

「では捨ててください」

今作ってもらったばかりのプラスチックマイナカードをゴミ箱へぽいっ。

 

 これはあきらかに無駄なプラスチックごみを増やしている。しかしこういう人が現れるであろうことは今の時点からでも十分想像できる。なぜ「プラスチックマイナカードが前提として必要」などというおかしな仕様にしてしまっているのか。

 もちろんオンラインで申請するときに厳格な本人確認が必要だから、という理由はわかる。だが、市役所の隣に住んでる人が窓口に赴いたときはどうなのだ。本人がパスポートやら免許証やらわんさか証明書類を持って窓口に来ているのだから、これ以上の厳格な本人確認はない。で、本人が「スマホ版がほしい。プラスチックカード版は要らない」と言っているにもかかわらず、一旦プラスチックカードを発行しなければならないというのは、なんとも阿呆らしい仕様だ。本人が望むなら、プラスチックカードは発行せずに電子証明書を直接スマホの中に入れてやれるようにすべきだ。

 

 何の話かピンとこない人はみんな、モバイルSuicaを思い出してほしい。Suicaにはプラスチックカード版のSuicaと、スマホ版のSuicaモバイルSuica)がある。二つ持っている人もいるかもしれないが、スマホの中にSuicaが入っていればそれで充分で、プラスチックのSuicaは要らないと思う人も多いだろう。で、JRにモバイルSuicaの発行を申し込んで、「まずは一旦、プラスチックのSuicaを発行してください」と言われたらどう思うか。「次にそのプラスチックSuicaからスマホにデータを移行します。これでスマホの中にSuicaが入りました。」「プラスチックカードのSuicaは要らない?ではどうぞお客様自身で捨ててください」。

 

 これはなんとも馬鹿らしい話だ。今ならまだやり直せる。総務省、デジタル庁の関係者の人、もしこれを読んでいたらどうか考え直してください。

 

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