漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

高校ラグビー改善案

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 昨年2019年は、日本はラグビーワールドカップが開かれ大いに盛り上がった。ワールドカップ開幕前日まで、ラグビーのことなどほとんど話題になっていなかったので、開幕後の盛り上がりには驚いた。
 
 私は昔からラグビー、特に高校ラグビーが好き、だった。だが近年の高校ラグビーの在り方には思うところがある。高校ラグビーの「関西偏重」についてである。
 
 例えば、2019年度の全国高校ラグビー大会は、ベスト8の内、5校が関西の学校だった。また、全国大会ではほとんどの県は代表が1校だが、大阪府だけは3校も出る。(東京都と北海道は2校。)
 
 東京都は学校の数が多いから、北海道は広すぎるから、という理由であることは解る。大阪府は何故3校も出場枠があるのか。それは大阪はラグビーのレベルが高く、強い学校が多いからである。毎年、第1代表、第2代表、第3代表の3校が全国大会のいいところまで行く。(2019年度は3校ともベスト8以上に行った。)
 
 大阪だけでなく、京都や奈良も強く、ここ20年くらい関西勢が成績上位を占めている。
 
 高校ラグビー界はなぜこんなに関西に偏っているのか。
 
 その理由の一つとして考えられるのは、会場が大阪の花園ラグビー場であることだろう。やはり地元は強い。ホームであれば気合いも入る。
 
 だが、東京や埼玉が会場になっている高校サッカーは関東偏重にはなっていないし、甲子園(高校野球)もそれほど関西偏重ではない。
 
 昔は、秋田工や大分舞鶴など、地方に強い学校がたくさんあった。ここで言う地方とは関西から見た地方、即ち関東、東北、九州などである。しかしそれら地方の学校は年々勝てなくなり、いつしか全国大会の上位は関西の学校が占めるようになった。
 
 その原因の一つはTV放送にあるのではないかと私は考えている。
 
 TV放送は大阪のMBS毎日放送)で、東京では系列のTBSが放送している。だが、そのTVでの取り上げられ方は、過去どんどん減少してきた。
 
 私の住んでる東京では、昔は準々決勝以上の試合を見ることができていた。それが準決勝以上、決勝のみという風に縮小されていった。また、放送時間は昼間だったのが深夜0時から1時頃という誰も見ない時間帯に移動し、フルで見ることのできていた試合もハイライトシーンのみになっていった。
 
 メインのTV局が大阪のTV局なので、関西ではもう少し見ることができているらしい。
 
 つまり、毎冬地元で開催され、TVでも他の地域よりは試合を見ることができる関西では高校ラグビーは盛り上がり、それを見て育った子どもがラグビーに憧れてラグビーを始め、競技人口が増えれば強い子が現れ、関西の学校はますます強くなる。快進撃を見せる地元の高校に関西の人たちは熱狂して、ラグビーを始める子が増える。という好循環になっている。
 
 そしてその関西圏内の強いサイクルのせいで、地方との実力差はどんどん開いていく。
 
 2019年は、ラグビーワールドカップにおける日本代表チームの大活躍で急にラグビーファンになった人が増えたが、今後も日本のラグビーが強くなっていくためには、高校ラグビーの裾野を広げねばならず、そのためには全国的な活性化が欠かせない。
 
 現在の「関西の関西による関西のための高校ラグビー」から、全国の高校が活躍する高校ラグビーに変えていかなくてはならない。
 
 そこで改善案を五つほど。
 
一、TBSが全国の系列局を使って全国の大体の県で試合を見られるようにする。
二、少なくとも準々決勝以上は生放送する。(サッカーは1回戦や2回戦あたりでも好カードの試合は放送している。)
三、1回戦や2回戦をダイジェストで放送するにしても、深夜ではなくもっと早い時間にする。
 
四、MBS、TBSがこれをできないのだったら、放映権をNHKに渡してNHKで放送する。
 
五、これでもまだ期待した効果が見られなかったら、メイン会場を花園から東京の秩父宮ラグビー場に移す。
 
 四つ目は劇薬、五つ目は奥の手である。
 
 だが、これぐらいのことをしないと、もう20年近く続いている「関西偏重」は変わらないのではないかと思う。
 
 日本のラグビーが今後も世界で活躍していくためには全体的な底上げが必要で、そのためには「関西の大会」化している現在の全国高校ラグビー大会を「全国の大会」にしていかなくてはいけない。
 
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