Suicaを持たない人と日本人の奴隷根性
「Suicaを持ってない人ってなんなの?」
首都圏でときどき聞く台詞である。
田舎に住んでる人にはピンとこないかもしれないが、首都圏でSuicaを持ってないということは、田舎で自動車や運転免許を持ってない、というに等しい。生活必需品を持たないで生活している人、ということだ。
東京で暮らし、毎日電車(JR)に乗っているのにSuicaを持っていない。
そういう人に対して、
「なんでSuica持ってないの?」
「Suicaを持たない理由は?」
と言う人は多い。
理由に興味を持つだけならよいのだが、そこから行き過ぎて、
「いまどきSuicaを持ってない奴って何なの?」
「周りに迷惑かけてるのが分からないの?」
と言う人がいる。ネットでもリアルでも時々見かける。
「迷惑をかけてる」と言うのは、例えば5人グループで電車に乗る時に、一人だけSuicaを持ってない人は改札を通る前に切符を買いに行くので、他の4人は待たされる、ということだ。
「みんな貴方を待ってるんだよ?」
「なんでSuica持ってないの?」
「迷惑かけてることに気付かない?」
Suicaを持ってる人は例えば5秒で改札を通過できる。持ってない人は、券売機のところまで行って財布から小銭を取り出して投入して切符が出てくるのを待って手にしてから改札まで戻ってくる。通過するのに40秒くらいかかるとしよう。
するとSuicaを使ってさっさと改札を通過してる4人はその1人のために35秒間も待たされることになる。券売機に人が並んでいるときはもっと1分、2分も時間がかかることもある。
なるほど、Suicaを持ってる人と持ってない人とで、改札の通過時間に大きな差ができている。グループで行動している時にたしかにこれは不便なことかもしれない。
だが!
そのようにしたのはJRである。
なぜ、その文句をJRに向かって言わないのか。
私は「待たされて不便だ」という気持ちを理解できないわけではない。で、その不満をなぜJRにぶつけないのか。なぜSuicaを持たない人にぶつけるのか。
私がそのように問うと、大抵の人は「だってJRに文句を言ってもしょうがない」と言う。「自分ひとりが文句を言ったところでJRの仕組みを変えられるわけではないから」と考えている。
日本人は「長いものには巻かれろ」で、大手に対しては従順で何も文句を言わない。そしてその代わりに、弱い一人に向かって文句を言う。
今回はSuicaの例で書いたが、他の事でも大抵、そのような仕組み・状況を作った大元には何も文句を言わず、弱い個人を責める人は多い。
こういう日本人の骨の髄まで染み込んでいる奴隷根性はなんとかならないものか。
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