漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

Twitterの代替が見つからない理由

 

Twitterがなくなったら困る

 自分はTwitterの古参ユーザーの方だと思うがTwitterがなくなったら困る。
 
 と言っても、私はほとんどツイートしない。TLを眺めているわけでもない。Twitterは主に検索ツールとして使っている。つまりTwitterという検索ツールがなくなると困るのだ。
 
 Twitterには唯一無二の価値がある。いわゆるマスクショック以来、Twitterからどのサービスに乗り換えようかという話題がある。ただ単に呟いたりTLを眺めて暇潰しをしたりフォロワーとソーシャルな関係を維持したいだけなら、InstagramやLINEなど候補はいくらかある。だが、Twitterにだけあって他のSNSには無い特徴がある。それは「なう」だ。
 

「なう(今)」という価値

 Twitterの長所はなんと言っても「なう(今)」が分かるところだと思う。これがTwitterの最大の特徴にして長所だ。
 
 以前、Twitterのタイムラインで、NHKのど自慢の「評論会」が行われているのを見たことがある。テレビに次々登場する出演者のことをみんなで「評価」しあう。のど自慢は1人あたりの登場時間は約40秒から60秒ととても短い。文字入力が遅い人だったら感想を打ち込んでいる間に次の出演者に移ってしまう。
 
 で、こんなにも“リアルタイム”な批評会が実現できるSNSTwitterしかない。
 

Twitterの次の移転先が見つからない理由

 Twitterイーロン・マスクによって私物化されめちゃくちゃにされてから、多くのTwitter民は引っ越し先を探している。だが、なかなか見つからない。
 
 フェイスブックmixiの名前が移転先の候補として上がった。フェイスブックは、日本人は実名制に抵抗がある人が多いので駄目だろう。mixiはフォロー/フォロワーの関係をTwitterからそのまま移築したいだけなら使えないこともない。しかしTwitter民はmixiには引っ越さないだろう。「繋がり」は維持できても、Twitterの持つ「なう」というリアルタイム性がmixiには無いからだ。
 
 Tumblrは構造的にはTwitterに最もよく似ている。フォローフォロワーの仕組みやリブログ/リツイートの仕組みもほぼ同じだ。だがずっと日陰を歩いてきたTumblrが今から陽のあたる道に行けるだろうか。
 
 今のところ移転先の最有力と見られているのはマストドンだが、マストドンは場所が分散してしまうという欠点がある。Twitterユーザーは、引っ越し先で今と同じような形で再集合したいのだ。
 

必要とされているのは第2Twitter

 結局のところ、Twitterが持っている「なう」の価値を再現できているSNSはなかなか無い。
 
 私は家を出る前にTwitter検索で「山手線」で検索する。トラブルや遅延の情報をチェックするためだ。山手線の利用者もTwitterの利用者も充分に多いのでこの検索は有効に機能する。誰かが「山手線止まってる」「架線トラブルの影響によりだって」などと呟いている。JRの公式サイトの情報より早い。それを見て私は行き先を地下鉄に切り替える。
 
 私はTwitterを検索ツールとして使っているわけだが、こういう「なう」を検索できる検索ツールは他にない。グーグルで「山手線」で検索しても「山手線とは東京を走っている環状線で…」という説明しか出てこない。
 
 Twitterユーザーが求めているのは「第2Twitter」なのだ。Twitterとの差別価値とか要らない。Twitterの丸パクリでもいい。ただイーロン・マスクの悪ふざけに振り回されない、安定したTwitterがほしいだけだ。
 
[追記]
 いちばん書きたいことを書き忘れていた。
 2011年の東日本大震災のときも役に立ったのはTwitterだった。フェイスブックやLINE、Instagramなど他のSNSが役立ったという話は聞いたことがない。
 「○時○分現在、○○線は○○駅〜○○駅間で動き出しました」とか、「1時間前にすべて配り終わりました。今から行く人は並ばないでください」等々、“リアルタイム”な情報がとても役に立った。こういうSNSは他にない。
 
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