漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

なぜ日本人はプラットフォーマーを批判しないのか

 こんなニュースを見かけた。
 これに対し、「捏造した人が一番悪い」、「これは弁護士が悪い」、「お母さん側が悪い」、「反訴したほうが悪い」という意見はたくさん目にするが(例えばはてなブコメ欄参照)、批判の矛先をイーロン・マスクに向けているコメントをほぼ見ない。
 
 日本人はどうしてプラットフォーマーを批判しないのか。どうしてここまで奴隷根性が染み付いているのだろうか。
 
 富裕層の人間が奴隷たちにどちらかが死ぬまで殴り合いをさせて楽しむ、という話を昔どこかで目にしたことがあるが、それを思い出した。奴隷たちは自分たちが富裕層のおもちゃにされていることには気づかず、対峙している相手の奴隷を憎んでいる。
 
 日本人はすぐに「使う人の問題」と言いたがる。「賢く使えばいい道具」、「使う人のモラルが問われている」、挙げ句に「嘘を嘘と…」と言い出す始末。
 
 娘さんが出ていた番組の件でも、「中傷する人は厳罰に」みたいな声はたくさん目にしたが、そもそも人の人生をおもちゃのように扱う番組をつくって放映する放送局を批判する声はとても少なかった。
 
 EUは相手がアップルであろうがグーグルであろうがちゃんと批判したり厳しい措置を科したりしていく。日本は海外のあとにそれを真似することはあっても一番最初に批判していくことはない。例えば「今のスマホはアップルかグーグルかの二択なんだからしょうがない」「アップルが嫌だったらグーグルを買うしかないし、グーグルが嫌だったらアップルを買うしかない、そういう時代なんだからしょうがない」と言う。
 
 パクツイや中傷ツイなどはもう何年も昔から問題とされているのに、ツイッター社はまったく改めようとしない。議論が侃々諤々白熱してたくさんの人々が参加してきてくれたほうが広告収入が儲かるからだ。
 
 難しくて判断に迷うようなツイートならともかく、人間が見て判る程度のパクツイ、デマツイ、中傷ツイをAIが判断できないわけはなく、ツイッター社は敢えてそういうツイートを残しているのだ。
 
 日本人は絶対に巨大プラットフォーマーを批判しない。日本ではこれからも安心して殴り合いの催しを続けていけそうだ。「誹謗中傷はやめましょう」、「そんな巨大な相手に文句を言ってもしょうがない」、「ユーザーひとりひとりのモラルの問題」が口癖の日本人からは、まだまだ金を巻き上げ続けることができる。
 
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