(ビットコイン)vs. ウィキリークス
先日、(ビットコイン)とウィキリークスが喧嘩しているのを通りすがりに目にした。
Fake and fabricated news site that I wanted not to have anything to do with Bitcoin makes up more lies.
— Dr Craig S Wright (@ProfFaustus) 2019年2月12日
Sorry, this is again, more fake news from Wiki - the lie factory that lies on how it promotes truth https://t.co/zGhTmERaxC
お互いに「fabricate(嘘つきだ)」と言い合っている。これ自体は小さな言い争いであり、喧嘩というほどのことではないかもしれない。
(ビットコイン)の方は括弧書きである。
この小さな言い争いがヒートアップして大喧嘩になったら、どうだろう。
だが、ビットコインとウィキリークスは本来喧嘩するような仲ではなく、同じ系統の仲間だと考えられている。いわゆる「サイファーパンクな人たちが好むもの」である。ビットコインを投機の対象として見ている人は別として、ビットコインが好きな人はウィキリークスも好きな人が多い。
例えば昨年亡くなった米国の著作家でありサイファーパンクの中心人物であったティム・メイはウィキリークスとビットコインの両方に多大な影響を与えた。つまり、この二つは片方が好きならもう片方も好き、という人が多い。ウィキリークスのジュリアン・アサンジもサイファーパンクの出身だし、クレイグ・ライトも昔はサイファーパンクにいた。
国・政府を必ずしも信用していない人たちに好まれて広がっていった。そして時には国に対抗する手段になり得る。なので、この両者は「兄弟」とまではいかなくても「いとこ」ぐらいの関係であると言える。
私が面白いと思うのは、クレイグ・ライトとジュリアン・アサンジは、ともにオーストラリア人で1年と違わずに生まれたほぼ同い年の男性だということである。世界を大きく変える力を持ったウィキリークスと(ビットコイン)の創設者が同じ国でほぼ同い年に生まれた男同士だというのはおもしろい。もっともクレイグ・ライトの方は自称だが。
ウィキリークスは嘘が嫌い。だからお得意の情報力を使ってクレイグ・ライトの嘘を暴き立てている。ビットコインの方はビットコインの方で「改竄不能」を謳っているので嘘はつけないはずなのだが、それはブロックチェーン上の話であって「ブロックチェーンの生みの親」の部分はごまかすことができる。
ビットコインは今のところ、日本をはじめ世界の多くの国々で、法律や規制によって従来の枠組みに収まりつつある。もっともそこで国の秩序に則って規定されていくのはビットコインSV(BSV)ではなく、ビットコイン(BTC)だが。
クレイグ・ライトの、すべてを自分の掌中に収めていこうという姿勢はビットコインのdecentralizedな思想に強く反する。そして最近の過激な言動は注意を要する。「自称の男だ」と言って一笑に付していられる間はいいが、これ以上影響力が大きくなりすぎると、ビットコインというシステムの脆弱点、不安定要素になる。
ビットコインは今後、“サトシ・ナカモト”への向き合い方をあらためて問われるかもしれない。あるいはもうすでに問われているかもしれない。
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