漸近龍吟録

反便利、反インターネット的

COVID-19対応に見る日本人のイン意識とアウト意識のアンバランスさ

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jacqueline macouによる画像
 
 COVID-19にかかる対応、特にオミクロン株の急速な蔓延に伴う対応で、岸田総理が外国から日本への入国を全面禁止にしたことが「英断」だとして多くの国民から拍手喝采を浴びた。
 
 「現代の鎖国だ」と言う人もいた。だが、私はそうは思わない。江戸時代の鎖国は入国だけではなく出国についても厳しく管理していたのだ。
 
 なぜ入国だけなのか。
 
 皆、オミクロン株やデルタ株などウイルスに感染してるかもしれない外国人が日本に入って来るのは嫌だと言う。だが日本からどこかの国に出国するということは、外国からしてみればウイルスに感染してるかもしれない外国人(日本人)が自分たちの国に入って来るということなのだ。どうしてそれが分からないのだろう。
 
 「水際対策が大事」と言う。それは反対ではない。しかし入国だけではなく出国のことも考えるべきだ。
 
 私は、ウイシュマさん事件とカルロスゴーン事件を思い出す。日本は、外国からやって来たウイシュマさんを「不法入国だ」と言って徹底的に小突き回し死に追いやった。一方、カルロスゴーンはこちらも「不法」出国だが、これは堂々と見逃した。
 
 ここに日本人の妙な“イン”意識と“アウト”意識のアンバランスさを見る。
 
 “イン”に対しては過敏だが、“アウト”に対しては鈍感なのだ。ウイシュマさん事件とカルロスゴーン事件が象徴的である。
 
 そして今回のオミクロン株大流行への対応でもそうだ。自分たちが外国人が日本に入って来るのが嫌だと感じているのなら、相手国も日本人が入って来るのが嫌だと思われる可能性にどうして思い至らないのだろう。
 
 COVID-19対策はインとアウトとセットで考えなければならない。これだけの世界規模の感染で「日本だけ平和」などということはあり得ない。もっと小さなスケールで考えても、感染症は家庭、学校、職場など、自分の周囲で拡まってしまったら逃れるのは難しくなる。「感染らない」ことも大事だが「感染さない」ことも大事なのだ。インばかりでなくもっとアウトに注意を向けなければいけない。
 
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